通信エリアの拡大

通信エリアの拡大

産業用途において無線通信エリアの拡大は、広範囲で信号カバレッジを確保し、高いモビリティとセキュリティを実現するために重要なテーマです。

産業用途において無線通信エリアの拡大は、広範囲で信号カバレッジを確保し、高いモビリティとセキュリティを実現するために重要な課題です。そしてさまざまなビジネス目的を達成するために、高性能な無線通信技術と広範なカバレッジが不可欠です。

通信エリアの拡大で達成できるメリット

モビリティの向上 

産業現場では、作業者や機器が広範なエリアを移動しながら作業を行うことが一般的です。無線通信エリアを拡大することで、作業者や機器が移動中も無線通信に接続したまま稼働できるため、作業効率が向上します。 

ワイヤレスセンサーネットワークの実現 

さまざまなセンサーを活用して遠隔での環境監視やデータ収集が始まっています。無線通信エリアを広げ、広範なエリアにセンサーネットワークを構築することで、効率的な監視やデータ収集が可能になります。また、IoT機器や装置をインターネットに接続し、リアルタイムデータの収集や制御を行うIoTデバイスとの連携がスムーズに行えるIoTシステムの導入も可能になります。

複数デバイスの同時接続

スマートフォンやタブレット、ロボット、センサなど、さまざまなデバイスが同時に無線通信に接続します。無線通信エリアを広げることは、多台数のデバイスの安定接続や作業効率の向上、デバイスの遠隔制御が可能になります。 

環境改善や安全確保 

工場、物流倉庫または屋外現場など、無線通信エリアを拡大することで広範な範囲をリアルタイムで監視できるため、環境改善や安全対策が強化されます。 

通信エリア拡大に必要な技術 

サイレックスは、独自の技術を駆使して通信エリア拡大という課題にアプローチしています。 

AMC Mesh機能 (特許出願中)

メッシュネットワークとは、無線アクセスポイントを複数のノードとして組み合わせ、自律的に連携させるネットワーク構築技術です。従来のアクセスポイントは、有線のバックボーンに接続されることが一般的でしたが、メッシュネットワークでは、ノード同士が無線で相互接続され、信号を中継して無線通信エリアを拡張します。

下図では、RootAP 2台、Repeater 30台で構成されるメッシュネットワークを想定しています。ホップ数は推奨である5ホップで、最大120m × 140mのエリアをカバーすることが可能です。

AMC Mesh機能対応

サイレックスが開発したAMC Mesh機能は、高度な自己診断と自己修復機能を持ち、動的に接続経路を選択して通信を維持します。これにより、無線通信エリアの拡大とネットワークの高い信頼性を実現します。また、AP間通信を2.4GHz / 5GHz同時に使用することで、5GHz帯無線LANの業務運用で課題となっている、W53やW56のDFS(Dynamic Frequency Selection)帯域の使用も可能にしています。例えば、5GHz帯で通信し、気象レーダ等を検知してもバックアップとして2.4GHz帯を使用して接続を維持することが可能となり、次に使用する5GHzのチャネル情報を共有し、5GHz帯の通信に自動復帰できます。必要に応じて簡単に拡張や再構築が行えるAMC Meshは、産業の現場における広範なカバレッジ要件に対応できる技術です。

AMC Mesh機能

子機の高速ローミング 

高速ローミングは、子機のデバイスが無線アクセスポイント間をスムーズに切り替える技術です。産業現場では、作業者や機器が移動しながら通信を維持する必要がありますが、従来のローミングでは通信の切り替えに時間がかかり、データのロスや通信の途切れが生じることがあります。 

サイレックスの高速ローミング技術は、デバイスがアクセスポイントから別のアクセスポイントにスムーズに切り替えることができるため、通信の途切れを最小限に抑えます。特に移動中のデバイスにおいて、連続した高速通信を実現します。これにより、産業の現場における作業効率やデータの安定性が向上します。またIEEE 802.11r規格に対応しているため、お客様の用途やシステム環境に合わせてローミングの開始条件を調整できる「ローミング閾値設定」機能の提供も可能です。

高速DFS機能 

DFSは、無線通信において一部の周波数帯域を共有する際に、他の無線システムとの干渉を回避するための技術です。DFSにより、電波が予期せずに別の周波数帯域に移動することで、干渉を最小限に抑えます。サイレックスの技術により、DFSの動作を非常に高速化させ、電波の移動や切り替えにかかる待ち時間を限りなくゼロに近づけます。常に利用可能なチャネルを監視し、検波時に速やかにチャネルを移動する機能を搭載することで、DFS帯域においても気象レーダ等の有無を意識することなく無線LANを利用することを強力にサポートします。

 高速DFS機能

 

これらの技術により、サイレックスは産業の現場における無線通信エリアの拡大に効果的にアプローチし、産業現場において高いモビリティと安定性を持つ無線ネットワークの構築に貢献しています。 

長距離無線通信規格 IEEE802.11ah

Wi-Fiといえば新しく6GHz帯を使うWi-Fi 6Eの高速通信性能が注目されていますが、IEEE 802.11ahも同じく2022年9月に日本で本格的に利用可能になった新しい無線規格です。別名「Wi-Fi HaLow™(ヘイロー)」や「S1G(Sub 1GHz)」とも呼ばれています。920MHz帯を使い、免許不要で屋外使用も可能です。遠距離性能から広大な敷地の工場やプラントなどでの活用が期待されています。サイレックスでは、IEEE 802.11ah対応無線LANモジュール、アクセスポイント、ワイヤレスブリッジも提供しています。通信エリアを拡大する要件が必要になった際は、無線規格からご検討ください。

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