医療教育用シミュレータを使ったグループ学習を即時につながるメッシュ無線LANで強力支援
医療・ヘルスケア 業務効率化 商品・サービス品質向上株式会社京都科学様
京都科学は、「世界の医療スキルの向上に貢献する」をキーメッセージに医学・看護・福祉分野を担う人材育成を支援する各種シミュレータの開発、製造に注力しています。高度な医療サービスは、少子高齢化の課題を抱える先進国に留まらず、グローバルで高いレベルの人材育成が急務です。世界の医療教育に貢献することで、その先の豊かな社会をけん引する企業を目指しています。
事例PDFダウンロードサイレックスとの出会いは従来調達品の販売終了がきっかけ
京都科学では、心臓病患者シミュレータ、呼吸音聴診シミュレータにグループ学習を搭載しており、シミュレータ本体とセットで提供されるタブレットPCから遠隔で最大5台までのシミュレータを同時に操作することができます。無線LANは、このタブレットPCとの通信と隣接シミュレータ間の設定情報連携に使用しています。
従来は、各仕向先で入手しやすいコンシューマクラスのアクセスポイントルータを採用してきましたが、製品のライフサイクルが短く、新旧モデル間での互換性がなく、無線通信の安定性などに課題を抱えていました。
サイレックスの『BR-400AN 』との出会いは、採用していたアクセスポイントルータが販売終了になり、懇意にしていた商社に代替品の紹介を依頼したことがきっかけでした。当時は、メッシュって?という印象がありましたが、製品評価をする中で、これは別の課題も解決してくれるのではないか、という期待を持ちました。
無線を使った機能がトラブルの温床に…
無線を採用している製品では、タブレットPCとの通信やシミュレータの通信連携がエンドユーザ様の利便性の肝になります。しかし、無線通信が安定しないと途端にクレームとなり、緊急な対応を余儀なくされてしまいます。従来採用していた無線機器もこの点において、選定の難しさを感じていました。
また、この他にも自社製品のライフサイクルにマッチした無線機器の購入という点においても課題意識がありました。
医療教育の教材は、人体構造といった普遍的な分野における基礎疾患の知識や症例毎の診断スキルを身につけることを目的に作られているため、デザインの大きな変更はなく、10年を超える耐久性を持って供給しています。
その一方で、これまで採用してきたコンシューマクラスの無線LAN機器は、1~2年毎にモデルチェンジしてしまい、新旧製品で機能的互換性がないなど、変更のたびに、自社製品全体の品質を担保していくという作業が発生するので毎回苦労していました。
また、市場のグローバル化によって、出荷仕向け国毎に現地で使用可能かつ手頃な価格で安定的に無線LAN機器を入手するという点も悩み事になっていました。
確かな接続性、グローバルかつ長期供給
サイレックスの『BR-400AN』を採用して、最も印象的なのは接続性の良さです。タブレットPC向けのアクセスポイント機能、隣接シミュレータ間の通信連携において接続不安定や予期せぬ切断といったことは発生したことはありません。統計データはありませんが、お客様からの無線トラブルコールは格段に低減しているものと思います。
また、『BR-400AN』が日本だけでなく、製品ニーズの高い北米や欧州に対応したモデル展開をしていること、必要に応じて認証国追加の相談ができることも安心につながっています。しかも、メーカ保証も標準で5年間の設定で、製品の長期供給についても組織的なライフサイクルマネジメントの取り組みがあること、後継製品での機能互換の提案が受けられることもパートナーとしての信頼を厚くしています。
製品キッティング時間の劇的短縮化
『BR-400AN』を採用して得られた具体的なメリットの一つに、「複数シミュレータ導入時のキッティング時間が格段に短縮できた」というものがあります。
『BR-400AN』は、それぞれのシミュレータの本体に内蔵しており、本体電源を入れると即時にメッシュ型の無線LANによって相互接続してくれます。この動作が社内外で高評価を得ています。
グループ学習のため複数台の導入、また、追加で導入される場合、現地でシミュレータ本体に内蔵された無線機器同士の接続設定は、WDS(Wireless Distribution System)という機能を使って構成していました。WDSは、接続させる機器の親子関係を決めたうえで、子機側のMACアドレスを親機に登録するという作業を要します。導入台数に応じて設定時間は増大し、追加で製品を導入する場合も、納入済み製品を含めて設定作業が必要でした。
これに対して『BR-400AN』は、メッシュIDとパスワード、無線チャネルを予め共通化しておくだけで無線LAN構成が自動的に完了するため、現地での製品設定作業を劇的に短縮できるようになりました。
無線機器としての単価は上がったのですが、セットアップやトラブル対応にかかるコストを考えれば相殺以上の価値があると感じています。
ICTを積極活用して世界の医療水準の向上に貢献する
医療教育用シミュレータは、その目的から人体と症例を具現化するというメインのデザインは不変的です。
しかし、これらベーシックなものに、無線通信技術やクラウド、AIといったICTの力を積極的に取り込んでいくことで、より広くスピーディに、より緻密で確実な医療サービスの世界的発展に貢献できる可能性を感じています。
左から
生産管理部 生産技術課
主任 田中 康弘 様
課長 松岡 紀之 様