次なる革新へ：初めての無線化プロジェクト(1) - 製品選定、開発支援からアフターサポート -

組込み Wi-Fi認証

AlphaTheta株式会社様

採用・導入製品：

開発開始時期：2020年11月

AlphaTheta 株式会社（アルファシータ：以下、同社）は音響技術に特化した企業で、世界的に有名な「Pioneer DJ」ブランドを展開しています。DJや音楽プロデューサー、音響エンジニア向けに高品質なプレーヤー、DJミキサー、コントローラー、アプリケーションなどを提供し、クリエイティブな音楽制作をサポートしています。革新的な技術と優れた音質を追求し、音楽文化の発展に貢献してきました。その製品は使いやすさと革新性を重視し、プロの現場から趣味でDJや音楽制作を楽しむ層までの幅広いユーザーに支持されています。

同社にとって有線LANの煩わしさや配線の課題は、常設設置を前提としない製品において重要な課題でした。さらに、音楽ストリーミングやクラウドの利用が一般的になってきた現代において、同社は新たな展望を切り拓くために製品にWi-Fiを搭載する決断をしました。この一歩は、同社が追求する製品の使いやすさと利便性を向上させ、新しい顧客体験を築く未来への道を開いています。

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サイレックス組込み無線LANモジュール搭載製品：

OPUS-QUAD（2023年3月発売）
進化した演奏性と唯一無二のデザインを融合した、プロフェッショナルDJ向けのオールインワンDJシステム
DJM-A9（2023年3月発売）
前モデルDJM-900NXS2から音質・演奏性が進化。多様なデバイス接続が可能になった、4ch プロフェッショナルDJミキサー

OPUS-QUAD

DJM-A9

当初、無線製品開発の課題すら想像できなかった

製品にWi-Fiを搭載する以前は、有線LANが主要なネットワークでした。有線LANの利用は安定性を備えつつも、ケーブルの取り回しには常に手間がかかりました。また、家庭や公共の場でのワイヤレス通信が主流になり、音楽の利用もクラウドやストリーミングを通じて広まっていました。そのため、同社の製品も無線ネットワーク接続に対応する必要性が高まりました。

ユーザーは、楽曲データをUSBストレージデバイスやノートパソコンなどの物理メディアで持ち運ぶ必要があり、機材の管理も現場で直接行う必要がありました。その結果、持ち運びや管理に関する課題が生じ、柔軟性に欠けていました。特にDJ活動の現場では、これらの制約がユーザビリティやクリエイティビティに影響を与え、スムーズなパフォーマンスに支障をきたしていました。DJ製品の使い勝手を向上させ、楽曲データやプレイリストの携帯性を確保する必要性が浮上していました。

Wi-Fiを導入することで、これらの課題に取り組むことになり、新しいアプローチを模索しました。過去に一部の製品で無線LAN/Bluetooth®を搭載した経験はありましたが、今回サイレックスの組込み無線LANモジュール「SX-SDMAC-2832S+」「SX-PCEAC2」を搭載するにあたっては、ほぼゼロからの取り組みでした。組込み無線LANモジュールの選定、組込み設計、無線性能の評価、各種認証申請など、あらゆる面で課題すら想像できない状況でした。

＜課題＞

有線LANは安定通信であるが配線が煩わしい
音楽業界におけるクラウド・ストリーミングへの移行
DJ製品の使いやすさと携帯性への要求
初めての組込み無線LANモジュール搭載製品開発への不安

【お客様の声】
実際の選定プロセスについて教えてください

「最初は、どういった性能や品質の基準で組込み無線LANモジュールを選ぶべきか分からず、国内外のさまざまなメーカーを調査し始めました。そして、仕様を決める過程で、メーカーを絞り込んでいきました。初めは正直、サイレックスさんについて知識がありませんでした。当社の要件に適した製品を提供している数社まで候補を絞り、それから各社メーカーにコンタクトを取りました。

選定の際には、仕様、コスト、投資、性能、サポートなどを競合メーカーと比較し、最終決断をさせて頂きました。音楽コンテンツのストリーミングを考えると、スピード性能は重要でした。サイレックスさんのスループットは他社と比べて安定しており、優れていました。また、選定評価環境が迅速に動作できたことや、信頼のある国内メーカーであるため、細やかなサポートが期待できる点もポイントでした。サイレックスの担当者の方から日々の進捗報告や提案を頂くことができ、助かりました。

AlphaTheta株式会社
品質・生産統括部生産部
音楽制作技術·戦略担当マネージャー
伊藤裕輔様

そして最も大切なポイントは、弊社に組込み無線LANモジュール搭載の経験が無いことから、サイレックスさんがソフトウェアとハードウェアの両方をワンストップでサポートできることでした。組込み無線LANモジュールでは、ソフトウェアが最も難しいと認識はしておりましたし、そのソフトウェアがハードウェアに密接に関連する部分も多いため、ドライバを含むすべてのサポートを受けられることは、非常に心強く思いました。最終的に、弊社のエンジニアが安心して製品開発ができるサイレックスさんの品質とサポートを選びました。

サイレックスさんの担当者の熱意や技術知識も競合他社に比べて心強いものがありました。サイレックスさんから『御社の今後の無線技術向上の為にサイレックスをしゃぶりつくしてください』と言う一言はかなり心に響きました。」（伊藤裕輔様）

【お客様の声】
実際の開発や認証サポートはいかがでしたか

「Linux上でのドライバの移植作業（ポーティング）にそんなに時間もかからず立ち上げも容易でした。また性能も問題ありませんでした。また弊社は、Wi-Fi Alliance®認証^※（以下、Wi-Fi認証）を独自で取得するよう動いておりましたが、どのような要求事項に準拠すればよいのかなど弊社に知見がなかったため、NG回答を受けても次のアクションをどうすればよいか想像すらできませんでした。サイレックスさんには色々とご支援いただいたことは印象に残っています。

Wi-Fi認証に手数料がかかることも知りませんでしたので、そこからのスタートでした。QAリストにも直ぐに対応を頂き、直接設計担当者同士がお話できる状況を作って頂けました。Wi-Fi認証ではFAIL要因を丁寧に説明頂き、認証試験機関とのやり取りもスムーズにできるよう事前に支援頂けて助かりました。サイレックスさんから弊社は多く学ばせていただきました。」（伊藤裕輔様）

「無線モジュール単体としては対象外ですが、無線モジュールを搭載した弊社製品に適用される欧州の無線規制試験(EN301 489)でNGが発生しました。何度もサイレックスさんに質問させていただきましたが、その都度手厚いサポートをいただきとても満足しています。」（石垣直樹様）

AlphaTheta株式会社
技術統括部ハードウェア設計部
石垣直樹様

【お客様の声】
開発後のアフターサポートや市場の反応は
いかがでしょうか

「発売したばかりですので市場からの機能・性能面の反応はこれからになりますが、新たに挑戦したOPUS-QUADの新デザイン面は市場からの反応は大変好評です。また、Wi-Fi接続品質は良好で、現在まで市場での不具合やお客様からのクレームは頂戴しておりません。クラウドを使ったユーザーも増えている傾向にあります。サイレックスさんとはアフターサポート契約も締結しており、安心できる体制も組んで頂けました。」（塩野浩司様）

「DJM-A9は、Bluetoothを搭載したことで簡単にスマートフォンなどから音楽を流し込めることが好評です。今のところ不具合も特に聞いておりません。またDJM-A9のWi-Fi搭載により、業界初の音響エンジニア向け管理アプリ「Stagehand」に対応しました。手元のiPad上でDJM-A9のレベルメーターや操作情報を把握でき、精度の高い音響設定や迅速なトラブルシューティングにリモート対応できるようなりました。また、楽曲の波形がリアルタイムで確認できるので、照明スタッフの方にとっても楽曲と連動した照明の演出が可能となります。」（坂田恒一郎様）