建設・農業機械

CAN・映像ブリッジを利用したスマート農機の実現

映像対応 シリアル・CAN/無線LANブリッジ GDM-3250

農業分野では、今後の農家の高齢化・従業者の減少や、農地の大規模化に対する効率化・省力化対応が課題となっています。これらの課題に対し、各農機メーカは普及しつつあるセンサ・カメラなどのIoTデバイス、またモバイル端末・通信・GPSといった各種ITインフラを活用したスマート農業向けロボットトラクターの開発・販売を開始しています。
※ 2018年12月現在

農業機械の自動運転は、農林水産省が設定しているレベル1(操縦者は農機に搭乗)、レベル2(操縦者監視の元で無人運転)、レベル3(完全無人運転)に分かれますが、現在各社から提供されているロボットトラクターはレベル2を実現したものです。このレベルの無人運転では、使用者がトラクターの走行情報を常時監視し、必要に応じて手動で介入する必要があるため、タブレットPCなどモバイル端末と車両との無線通信・走行情報の共有が必須となります。

サイレックスのGDM-3250は車両制御で使われるCAN通信の送受信に加え、車載カメラによる走行映像も同時に無線転送することができ、さらに標準で屋外車両で必要な防塵・防水・耐温度といった耐環境性を備えているため、スマート農機の開発期間短縮に大きく貢献することが可能です。

CANデータの無線化

車両走行情報=CANデータの無線化

トラクターの走行制御や稼働・センサ情報交換にはCAN(Controller Area Network)通信が利用されています。GDM-3250はこのCAN通信情報をIPに変換し無線転送することができます。

ロボットトラクター実現のためには、このCAN情報をタブレットPCからリアルタイムに監視・制御する必要があります。サイレックスのCAN・無線ブリッジは、データサイズや通信の仕組みの異なるCANとIP通信をインテリジェントに変換する機能を標準でサポートしているため、車両側の既存CAN通信やECU(Electronic Control Unit)をそのまま利用※1できます。

※1 無線通信が切れた場合の安全制御は、車両側で対応・実現されています。

周辺映像(複数カメラ)データを1つにまとめて無線転送

車載カメラによる走行映像の無線転送

ロボットトラクターの走行情報を『人が』常時監視するためには、車両走行データやセンサ情報だけでは不十分です。トラクターに搭載された複数の車載カメラを用いて周辺映像を転送、車両稼働・センサ情報と合わせてリアルタイムにモニタリングすることで遠隔操作が可能になります。

GDM-3250では、一般的な車載カメラ(NTSC)を最大4つ接続でき、また複数の車載カメラ映像を1つにまとめて転送できます。これにより無線帯域を効率的に使うことができ、またモバイル端末アプリケーションの映像処理の負荷も軽減しています。

トラクター

屋外利用に対応したハードウェア

通常のオフィス・工場はもちろん、一般的な乗用車と比べても農機車両ではより高い耐環境性レベルが求められます。

操縦席(キャブ)内に取り付けた場合、車両ボディそのものが無線通信の障害物となり通信距離の低下が生じるため、無線装置はなるべくキャブのルーフ上に取り付けることが推奨されます※2。GDM-3250はIP67レベルの防塵・防水性を確保。動作温度も-30℃~65℃を実現。ルーフトップに搭載することで、モバイル端末とより安定した無線通信を行うことができます。

※2 無線アンテナだけを延長取り付けすることも可能ですが、無線信号が減衰してしまう場合もあります。

タブレット

タブレットアプリケーションの提供

ロボットトラクターは様々な技術・デバイスを組み合わせて実現されていますが、農業作業者にとって最も重要なものの一つに『車両監視・操作端末アプリケーション』が挙げられます。このアプリケーションは各農機メーカのロボットトラクター固有の機能を基に、個別に開発されます。

サイレックスではこれらタブレットPCアプリケーションの受託開発も行っていますが、各農機メーカが自社開発もできるようCAN・映像アプリ開発用SDKをプログラムサンプルコードとセット提供しています。これらを活用することで、農機メーカはトラクターおよび周辺装置の開発に注力することができます。

トラクター

海外対応

ロボットトラクターのニーズは日本国内のみならず、米国をはじめとした、より大規模・集約された農業を展開している海外各国にも存在します。

サイレックスでは、無線LAN端末の開発・製造に限らず、これら海外各国の無線認可の代行・取得サポート業務も提供しています。ロボットトラクターの海外展開に合わせ、国内外共通で利用できるCAN・映像ブリッジ用端末として安心して採用頂けます。

まとめ

ロボットトラクター市場は立ち上がったばかりで、通信距離の延長や無線干渉対策、またコストの削減、圃場間移動や法整備など取り組むべき課題は多々あります。サイレックスはこれまで培ってきた無線利用ノウハウ、また切れない無線を実現する自社AMC(Absolutely Must Connect)技術を活かして、次ステップとなるレベル3=完全自動化運転に向け価値ある製品を提供していきます。