IEEE 802.11ah (Wi-Fi HaLow™)技術を採用し、確実な産業用IoTコネクティビティを提供

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Nexcomm Systems 様

Nexcomm Systems社は、IoTデバイスをクラウドに接続して監視・制御するためのソリューションを開発しており、20年以上にわたり産業用および大型車両用アプリケーションにセルラーベースのシステムを提供してきました。産業市場特有のニーズに対応したセンサーハブ、ゲートウェイ、クラウドプラットフォームの提供を得意としています。

産業用および屋外向けの大型車両や作業トラック向けのセルラーゲートウェイとセンサーハブを設計するNexcomm Systems社は、これらの環境下で従来の無線技術を使用する場合、無線通信範囲の拡大やより高いデータスループットなど、いくつかの課題に直面します。また、セキュリティの強化、機器設定や導入の簡素化なども重要な要件となります。

導入製品 関連製品(導入製品 日本モデル)
SX-NEWAHモジュール(北米モデル) IEEE 802.11ah対応
SX-NEWAHモジュール(北米モデル)


920MHzで広域をカバーする無線LAN
SX-NEWAHモジュール(日本モデル) IEEE 802.11ah対応
SX-NEWAHモジュール(日本モデル)

Nexcomm Systems社製品にIEEE 802.11ahを実装

産業環境での無線通信に関する課題を解決するため、Nexcomm Systems社は、サイレックス・テクノロジーのIEEE 802.11ah対応 SX-NEWAHモジュールを同社の機器に採用したことで、業界初のIoTデバイス向けIEEE 802.11ah Wi-Fi ソリューションを実現しています。IEEE 802.11ahは、最小限の電力で長距離のスマートデバイスを確実に接続し、920MHz帯を使用する他のLPWA技術と比較しても、高いデータスループットを実現します。

Nexus Industrial エッジコンピュータ Nexus Panelエッジコンピュータ SensePoint Industrial
Nexus Industrial エッジコンピュータ Nexus Panelエッジコンピュータ SensePoint Industrial

産業用有線・無線IoTデバイスの接続性課題と取り組み

Nexcomm System社のセンサーハブやゲートウェイは産業分野で使用されるため、耐環境性、耐サージ電圧、逆電圧、耐静電気放電(ESD)性能が求められます。そのため、製品筐体は防水仕様で、防水コネクタやコードグリップが搭載されており、粉塵や泥汚れなどが多い過酷な環境で使用できます。重機、作業用トラックにも搭載可能です。

産業分野特有の接続性の課題もあります。従来の産業用コントローラーなどの機器は、RS-485やCANバス、最近では産業用イーサネットなど長年使用されている有線技術で設計されています。しかし、このような環境におけるケーブル配線費用は高額なうえに、回転する重機の周りや大型トラックが往来する場所に数百メートルのケーブル類を配線することは不可能です。そのためワイヤレスソリューションが必須となります。

こうした産業分野の環境では従来の2.4GHz帯や5GHz帯の無線技術を使用するのは困難です。Nexcomm Systems社は接続ソリューションを開発するにあたり、これまでのWi-Fiソリューションとは異なる新しいIEEE 802.11ah技術を採用することで、次の6つの課題を解決しました。

課題1:通信距離

これまでの無線技術の通信距離は、一般的に数十メートル程度です。高利得アンテナと信号増幅器を使うと通信距離を伸ばせますが、産業施設の多くは広大な敷地に建物が乱立していますし、埋立地や鉱山の場合はその範囲が桁違いとなります。IEEE 802.11ahは920MHz帯を使用するため、2.4GHzと比較して長距離の通信を実現し、費用がかかるハードウェアを追加することなく、より広範囲をカバーすることができます。

課題2:物質透過性

産業の現場では、壁や車、金属構造物が多く電波を遮断し、その無線通信を制限しています。920MHz帯で動作するIEEE 802.11ahは、障害物に対する回り込みが2.4GHz帯よりも優れているため、障害物が多い現場に適した無線ソリューションです。

課題3:データスループット

市場にあるIoTアプリケーションの多くは、小さなバッテリーで動作しながら小さいデータを頻繁に送信するセンサーアプリケーションです。例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)デバイスは、CR2032ボタン電池1個で5年間動作することを目標としており、通常500kbps以下という低速度でデータを送信しています。回転する機器に搭載されるハイエンドの振動モニターなどは、10秒間で2MBのデータを生成するようなアプリケーションはどちらかというと置き去りになっています。例えば、大型のモーターにはそれぞれ5個ものセンサーが搭載されていることがあります。複数のモーターは近接しているのが普通で、15分から20分ごとにデータが送信されます。つまり2.4GHz帯で無線通信するには難しい環境です。このような環境下においてもIEEE 802.11ahを使用すれば、物質透過率がはるかに高い帯域で高いデータスループットを実現し、課題を解決することが可能となります。

課題4:セキュリティ

産業用の監視用途、特に制御が絡む場合、セキュリティ要件は重要です。IEEE 802.11ahは、業界最高標準の暗号化、認証、実装手法を提供することができ、しかも新技術のため、セキュリティ規格ではWi-Fi Alliance®が定義した最新のWPA3™のみとなります。

課題5:混雑する周波数帯

あまり知られていませんが、多くの企業が産業施設に設置する無線機器の数、種類、周波数帯域を制限していることが問題になっています。2.4GHz帯は世界的に免許不要の周波数帯なので、トランシーバーや警報機、制御システムなど様々なシステムがこの周波数帯で動作しています。多くの企業は異なるシステム間の干渉を経験しているので、どのシステムがどの周波数で動作可能かをマッピングしているほどです。クリティカルなシステムが優先されるため、その他は2.4GHz帯の未使用周波数を使わざるを得ません。重要度が低い機器はそのような状況に適応できないと使ってはもらえません。施設によっては、従来のWi-Fi使用を禁止しているところもあるほどです。ところがIEEE 802.11ah対応デバイスは、920MHz帯を使用するため、2.4GHz帯のクリティカルなインフラと問題なく共存できます。

課題6:新技術採用における安心感

新しい技術をお客さまにご紹介する際、どう機能するのかという懸念が常につきまといます。IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow™)はWi-Fi Alliance®が開発し、Wi-Fiを世界で最も成功した無線技術にした機能の全てを盛り込んでいます。これが導入に対する安心感となっています。

産業・屋外環境の高速・安全なデータ伝送のための確かなソリューション

Nexcomm Systems社は、IEEE 802.11ahが産業の現場で直面している無線通信課題を解決することに可能性を見出し、サイレックスのSX-NEWAHを採用しました。そして、Nexcomm Systems社のゲートウェイ/エッジコンピューティングがクラウドと接続することで、産業IoTを強化する態勢が整いました。

IOT Point System

Nexus Industrial エッジコンピュータ
IEEE 802.11ah、Bluetooth®などの技術を使ってIoTデバイスと通信、CAT-1セルラーモデムを介してインターネット接続を提供します。IP68準拠のアルミダイカスト製の筐体を採用、産業アプリケーション向けの堅牢な製品です。サイレックス製SX-NEWAHを導入することで、IEEE 802.11ah対応アクセスポイントと、DCモーター電動発電機に取り付けられた振動センサーなどのIEEE 802.11ah対応IoTデバイスを接続します。

Nexus Panelエッジコンピュータ
サイレックス製SX-NEWAHを使用してIEEE 802.11ah通信を実現。また、産業用パネルアプリケーション向けにDINレールマウント型の筐体になっています。アプリケーションに応じて拡張ボードを使用することで、4ポートのイーサネットスイッチやセンサーに直接接続するためのI/Oなど、用途に応じた追加機能を組み込むことが可能です。4~20mA、0~10V、デジタルON/OFFインタフェースに加え、RS-485もサポートしています。

SensePoint Industrial
4~20mA、0~10Vに対応、デジタルON/OFFのインタフェースを実装し、各種センサーに直接接続することができます。センサーデータをサイレックス製SX-NEWAHを使ってIEEE 802.11ah経由でNexus IndustrialまたはNexus Panelゲートウェイに送信します。データはゲートウェイからクラウドに送信されて、保存・可視化されます。

※本事例は、サイレックスの海外(米国)拠点"silex technology america, Inc."が作成した事例を日本語に翻訳したものです。
 記載された社名及び製品名は各社の登録商標または商標です。

関連情報

  • 長距離無線通信 IEEE 802.11ah導入ガイド

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