6GHzで製造現場の配線課題を解決
OEM事例で見るワイヤレスブリッジの可能性

6GHzで製造現場の配線課題を解決
OEM事例で見るワイヤレスブリッジの可能性

三菱電機株式会社 名古屋製作所 様

採用・導入製品:

(採用のベースとなった弊社標準製品)

※ 本導入事例で紹介する三菱電機 無線LANアダプタ「NZ2WL-JPGNA」は、CC-Link 協会のコンフォーマンステストを受審、合格しています。
  弊社標準製品BR-600AXは同テストを受審しておらず、CC-Link IE TSNのClass Aシステムでは利用できません。

 

三菱電機 名古屋製作所は、FA(ファクトリーオートメーション)領域における中核拠点として、シーケンサ(PLC)をはじめとする制御機器、産業用ネットワーク機器、モーション制御装置などを開発・生産しています。これらの製品は、国内外の製造現場で幅広く導入されており、生産ラインの制御、設備監視、見える化、安全性の確保など、工場運営の基盤を支えています。現場の課題に寄り添った製品開発と、長年蓄積してきた信頼性重視の設計思想により、スマートファクトリーの実現に向けた取り組みを継続して推進しています。

 

今回は、6GHz帯×CC-Link IE TSNを核に、生産現場のレイアウト自由度向上と見える化、運用性を高める無線LANアダプタ「NZ2WL-JPGNA」開発プロジェクトについて開発担当者にお話を伺いました。

三菱電機 無線LANアダプタ
「NZ2WL-JPGNA」
三菱電機株式会社 様 製品紹介ページ
NZ2WL-JPGNA

2025-11-05_case_mitsubishi (1).webp
三菱電機株式会社 名古屋製作所
(左)FAシステム部 FAソフトウェア開発第二課 主任 竹内 大祐 様
(右)PCシステム部 PCハードウェア開発第一課​​​​​​​ 主任 櫻井 大輔 様

製造現場の「配線限界」を超える挑戦

――今回のプロジェクトの発端や背景について簡単に教えてください

製造現場の生産ラインでは、少量多品種化により段取り替えやレイアウト変更が頻繁に行われています。そのたびに発生する配線工事や設備停止は、生産性の制約要因となっていました。加えて、無線活用による生産現場の見える化やIoT化が進み、2.4GHz・5GHz帯が混雑。通信干渉による遅延や不安定さが問題になっていました。こうした背景のもと、三菱電機は、新しい6GHz帯Wi-Fi 6E無線技術とCC-Link IE TSNを組み合わせることで、次世代のスマートファクトリーを実現するための無線化プロジェクトを立ち上げました。

※ CC-Link IE TSN:一般社団法人CC-Link協会から仕様が公開されている産業用オープンネットワークです。これまで難しかった産業用ネットワークとITシステムの連携を実現し、リアルタイムな制御通信と非リアルタイムな情報通信を同一のネットワーク上で混在させることを可能にします。

「有線前提」の常識を覆す

――産業オートメーションで無線ネットワーク製品に挑戦した理由を教えてください

三菱電機はこれまでもネットワーク対応製品を数多く開発してきましたが、制御通信を含む産業用途においては無線導入に慎重でした。「設備を止めてはいけない」という現場の強い意識と、無線通信の信頼性に対する不安が、無線普及の壁になっていたのです。しかし、AGVなど無線通信が前提となる移動体が産業分野で台頭していることや、2.4GHz・5GHz帯との干渉を回避する6GHz帯が利用可能になったことで無線利用の機運が高まり、6GHz帯を利用した無線通信とCC-Link IE TSNを活用すれば「有線前提」の常識を覆せるのではないかと考えました。

パートナー選定の決め手は「頼れる無線開発力」

――このプロジェクトのパートナーとして弊社を選んでくださった理由を教えてください

このプロジェクトのパートナーに選んだのが、産業用無線技術に豊富な実績を持つサイレックス・テクノロジーでした。選定の理由は明確でした。

サイレックスは、単なる部品メーカーではなく、自社でモジュールからドライバ、通信制御まで一貫して開発できる技術力を持っており、無線特有の課題を迅速に解決する提案力にも安心感、信頼感がありました。

実際、開発過程で想定外の課題にぶつかり、仕様の制約かスケジュールの大幅遅延かを選択せざるを得ないと覚悟する局面もありましたが、サイレックスのエンジニアチームがドライバ実装面での独自対処を導き出し、仕様制約とスケジュール遅延を回避することができました。

2025-11-05_case_mitsubishi (11)-2.webp

文化の違いを超えた「共創プロジェクト」

――プロジェクトではどのようなご苦労がありましたか?

プロジェクトは約1年をかけて進行しました。厳格な品質プロセスを持つ三菱電機の開発体制の中で、両社は互いの文化や手順の違いをすり合わせながら、信頼関係を築いていきました。初期段階では、無線用語や仕様書の認識の差によるすれ違いもありましたが、「なぜこのプロセスが必要なのか」を丁寧に共有し合うことで理解が深まり、最終的には「社内でも非常にうまく進んだ案件」として高く評価されています。

6GHzが切り拓く新たな通信インフラ

――開発した無線LANアダプタについて教えてください

今回の無線LANアダプタは、6GHz帯による干渉回避に加え、ローミング機能を備え、AGVなどの移動体にも安定した通信を提供します。

また、CC-Link IE TSNのClass Aシステムにおいてリアルタイム性を確保しながら、安全機器を対象とした制御系通信にも適用可能です。さらに、小型筐体設計も高く評価されており、「限られたスペースにも無理なく収まる」と、現場での利便性を後押ししています。

mitsubishi-case01.jpg

現場が実感する導入効果

――無線LANアダプタ導入による期待効果を教えてください

本格的な導入はこれからですが、導入が進めば現場は効果を実感できるという手ごたえがあります。

まず、配線工事の削減による工期とライン停止時間の低減を実現できるはずです。既設設備に無線LANアダプタを設置することで簡単にIoT化が実現でき、弊社の見える化ツールと組み合わせることで生産データをグラフィカルに確認できるようになり、保全作業やトラブルシューティングのスピード向上も期待されます。

さらに、これまで三菱電機社内でミッシングパーツとされていた無線機器が加わったことで、「オール三菱」でのシステム提案が可能になり、営業現場での提案力強化にもつながると考えています。

2025-11-05_case_mitsubishi (9)-3.webp

無線アレルギーを払拭する次の一手へ

――今後の製品展開と弊社に期待して頂いていることを教えてください

今後は、海外規格への対応、NATや外付けアンテナ対応など機能の拡充に加え、将来的には次世代通信規格Wi-Fi 7対応も視野に入れています。また、実際の稼働事例を積み重ねていくことで、「無線は不安」という産業現場特有の固定観念を払拭していけるという自信があります。

三菱電機とサイレックスは、今後も無線通信と制御ネットワークの融合を進め、「設備を止めず、つながり続ける」新しい生産現場の姿を共に創り出していきます。

2025-11-05_case_mitsubishi-16.webp

採用のベースとなった弊社標準製品

関連情報

製品のご購入・サービスカスタマイズ・資料請求など
お気軽にお問い合わせください