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EP-200Qで実現するエッジAI ー 対応するAIモデルとオンデバイスAIのユースケース

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エッジコンピューティング エッジAI

本記事では、EP-200QでAI推論を行う際に把握しておくべきことについて解説します。そして、それぞれの長所、短所をご理解いただいた上で、ご利用シーンに合わせた最適解へつながるように、スマートデバイスを開発するエンジニアやプロダクトチームにとっての「真の価値」へと昇華されるのかを紐解いていきます。

EP-200Q

EP-200Qは、TensorFlow、PyTorch、ONNXで構築されたAIモデルを幅広くサポートしています。エッジ環境へのデプロイに向けて、INT8およびINT16の量子化を活用することで、CPU、GPU、そしてNPUでの推論を最大限に最適化します。

「オンデバイスAI」の時代が、今まさに幕を開けました。適切なエッジAIプラットフォームを選択できるかどうかが、プロダクトの成否を分ける決定的な鍵となります。

EP-200Qは、Qualcomm® Dragonwing™ QCS6490を搭載した高性能エッジAI System-on-Module(SoM)です。高度なCPU、GPU、そして専用のニューラル処理(NPU)ハードウェアを備えたこのモジュールは、センサーデータを取得し使用する場所——つまりデバイスそのものの上で、現実世界の複雑なAIワークロードを実行するために設計されています。

 

EP-200QでのAI推論:その仕組みと重要性

EP-200QがどのようにAIワークロードを処理するのか、その詳細を見ていきましょう。

推論を支える3つのエンジン:CPU、GPU、そしてNPU

EP-200Qは、以下のリソースを使い分けてAIモデルを実行できます。

  • CPU: 柔軟性が高く、多くのフレームワークをサポートしますが、AI推論処理に時間がかかるので、FP32等の高精度の小規模モデルを使い、数秒に一度くらいの頻度でAI推論を行うユースケースに適しています。
  • GPU: 並列演算に優れており、画像認識(ビジョン)を中心としたワークロードで優れたバランスを発揮します。
  • NPU(Neural Processing Unit): 量子化されたモデルを使用し、最も高速にかつ低消費電力でAI推論を行いたい場合に最適です。量子化を行うため、精度の検証が必要です。

多くのAIユースケース、特にビジョンAIやリアルタイム・センシングにおいては、NPUを活用することで、速度と電力効率の最高のコンビネーションを実現できます。

エンジン サポートしている
フォーマット
ベストユースケース
CPU FP32, FP16, INT16, INT8 汎用的な処理
GPU FP32, FP16, INT16, INT8 並列処理
NPU INT8, INT16 高速処理

INT8/INT16に量子化されたモデルは、NPU上でより高速かつ効率的に動作するため、商用グレードのAI推論に最適です。

これは、TensorFlow、PyTorch、ONNXといった広く普及しているAIフレームワークで作成したモデルを最適化フォーマットに変換し、SNPE、QNN、TensorFlow Liteなどの業界標準のランタイムを使用して、EP-200Q上で直接実行できることを意味します。

EP-200Qで実現するエッジAIのユースケース

スマートカメラ、ロボット、医療モニタリング機器、産業用センサーなど、EP-200QはさまざまなエッジAIアプリケーションに対応します。

  • コンピュータビジョンと物体検出(画像解析)
  • ポーズ推定とアクティビティ認識(動作認識)
  • コマンド・制御用の軽量言語モデル(音声操作・HMI)
  • 機械やセンサーの異常検知(異常検知)
  • エッジ推論用に最適化された量子化CNN
物体検出のイメージ

物体検出のイメージ

ポーズ指定のイメージ

ポーズ推定のイメージ

音声操作のイメージ

音声操作のイメージ

異常検知のイメージ

異常検知のイメージ

クラウドへの常時接続を必要とせず、これらすべての推論処理をローカルで直接実⾏できるため、以下の利点を得ることができます

  • 低レイテンシ(低遅延):AI推論をNPUで行った場合、リアルタイムな意思決定が可能になります。
  • プライバシーとデータセキュリティの向上 : 重要なデータをデバイス外に出す必要がありません。
  • 帯域幅コストの削減 :大容量のデータをクラウドに転送するコストをカットできます。
  • オフライン動作の信頼性 : ネットワーク環境が不安定な現場でも安定して稼働します。

これらの要素が組み合わさることで、実際の運用環境において「高速で、スマートで、堅牢な」ソリューションが実現します。

EP-200Qの特長

EP-200QでAI開発を迅速にスタートする

ゼロから構築する必要はありません。EP-200Qの開発パッケージには、開発を合理化するためのツールとワークフローが用意されています。

  • モデル変換ツール : ONNX、TensorFlow、PyTorchから、使用可能な形式へ簡単に変換できます。
  • Dockerベースのビルド環境 : 複雑なセットアップなしで、すぐに開発環境を立ち上げ可能です。
  • Qualcomm AI Hubのサポート : Qualcommの最新ツールを使用して、最適化されたモデルを配信するオプションのワークフローが利用できます。

特定のモデルやフレームワークについてご質問があれば、ぜひ弊社にご相談ください。お客様のワークロードに最適なランタイムの選定をサポートいたします。

製品開発におけるエッジAIの重要性

エッジAIは単なる流行語ではありません。それは、以下のような具体的な機能を実現するための鍵となります。

  • 最も重要な場所でのリアルタイムな洞察: データが発生したその場で即座に分析・判断が可能です。
  • プライバシーに配慮した安全な意思決定 : 外部にデータを送信せず、デバイス内ですべてを完結させます。
  • バッテリー駆動デバイス向けの低消費電力推論 : 効率的な演算により、限られた電力でも長時間の動作を可能にします。
  • 主要なAIフレームワークへの柔軟な対応 : TensorFlow、PyTorch、ONNXなどを活用した既存の資産を無駄にしません

これにより、より高度で信頼性の高い製品開発が可能になります。
例えば次のような用途が考えられます。

  • AI搭載カメラ:エッジ側でアラートをフィルタリングし、不要な通知や通信を削減します。
  • 自律走行ロボット:周囲の環境をリアルタイムに認識し、自律的なナビゲーションを実現します。
  • 産業用ユニット:機器の異常を瞬時に検知し、故障や事故を未然に防ぎます。
  • ヘルスケアデバイス:クラウドに依存せず、患者の容態を常に安全にモニタリングします。

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ライタープロフィール

神代 悟
プロダクトマネージメントを担当しています。
困ったときはサイレックスに聞いてみようと思っていただけるような製品、サービスを提供できるよう、最新技術を学び、どう取り込むと課題を解決できそうかを考えることに楽しみを感じています。

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