話題の長距離無線通信「Wi-Fi HaLow™」は、
実際どこで利用されているのか?

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2022年9月から日本国内でも本格利用が可能となった『Wi-Fi HaLow™(ヘイロー)(IEEE 802.11ah)』は、「遠くまで届くWi-Fi」という明快な特長のおかげで、多くの関心を集めています。最近はWi-Fi HaLowに関する情報も増えていますが、「実際の導入事例」についてはまだあまり知られていません。そこで今回は、Wi-Fi HaLow™がどのようなシーンで活用されているのか、具体的にご紹介します。

Wi-Fi HaLowについて
詳しくは:「1km離れてもつながるWi-Fi」をご参照ください。​​

現場が求めるWi-Fi HaLow™活用方法とは?

サイレックスが現場のニーズを調査した結果、Wi-Fi HaLow™の活用トップ5は以下のとおりでした。

1位 映像監視(防犯カメラ・遠隔モニタリング)
2位 センサーデータ通信(IoT機器との連携)
3位 防犯・防災用途
4位 移動体用インフラ(ドローン・AGV・自動搬送ロボットなど)
5位 AIとの連携(映像解析・機械学習など)

特に「映像監視」と「センサーデータ通信」の2つで全体の60%以上を占めており、圧倒的に需要が高いことが分かりました。そこで今回は、実際の導入事例としてこの2つの活用方法を解説します。

 

Wi-Fi HaLow™の具体的な活用事例

①    工場やプラントの監視カメラ

工場・プラントなどの広い施設では、監視カメラの設置は保安上重要ですが、「敷地内の監視カメラをどう設置するか」で、様々な課題に直面しています。

  • 監視カメラはデータ通信量が多く、無線接続は難しいのではないか
  • 有線LANでカメラと監視室を何百メートルも繋ぐのは現実的ではない
  • 工場/プラント内ではWi-Fi(2.4/5GHz)がすでに過密状態のため、電波が安定しない
  • 長距離通信可能なWi-Fi規格は他にもあるが、カメラ映像を送るには速度が足りない
     

Wi-Fi HaLow™ならこれらの課題が解決できます!

Wi-Fi HaLow™は、長距離通信が可能(数百メートル〜1km)
Wi-Fi HaLow™は、920MHz帯の周波数を使用 → 他のWi-Fi(2.4GHz/5GHz)と干渉しない
☑ 有線LANを敷設せず、監視カメラの映像をワイヤレスで伝送可能

監視カメラの解決策として、Wi-Fi HaLow™が抵抗なく受け入れられたのは、ごく自然な流れと言えます。

工場やプラントの監視カメラ

 

② 工場やプラントのセンサー

工場やプラントには、さまざまなセンサーが設置されています。Wi-Fi HaLow™活用方法は、カメラだけに留まりません。

  • 温湿度センサー
  • 風量・水量センサー
  • 電圧・油圧センサー

通常、これらのセンサーは近距離無線(BluetoothやZigBeeなど)でゲートウェイにデータを集約し、そこから有線LANや光ファイバーで監視システムへ送信されます。
センサー自体の通信方式は、データの正確性や消費電力の他、他通信の障害にならないことも重要視されます。ただ、センサーの数はどうしても多くなるため、センサー自身が長距離通信してしまうと、他通信の障害になってしまう可能性が高まります。そのため現場ではセンサー情報を近距離無線で一旦近場に集約し、そこから有線で監視ポイントまでデータを持っていく方法が利用されていますが、この一か所に集められた複数センサー情報を監視ポイントまで持っていく方法に課題があります。

  • 有線LANでは距離制限がある
  • 光ファイバーは、設置コストが高額(数千万円~億単位)


Wi-Fi HaLow™ならこれらの課題が解決できます!

  •  Wi-Fi HaLow™なら、複数のデータをまとめて送ることができる
  •  複数センサーの情報を集めるゲートウェイやデータロガーと監視システム間の数百メートルをWi-Fi HaLow™で接続
  •  低コストでインフラ構築が可能 → 高価な光ファイバーの代替
  •  省電力で長時間運用可能 → バッテリー駆動のセンサーでも使用可能

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まとめ
Wi-Fi HaLow™の可能性は広がっている

サイレックスでは多くのお引合いをいただいており、多方面の市場から期待されていることを日々感じています。本格的な普及はこれからですが、ここ1~2年で確実に活用は増加しています。さらに、802.11ahで利用できる周波数帯が増えるかも!?といった話も出てきており、今後、ますますWi-Fi HaLow™は身近な無線通信規格として普及していくと予想されています。
次回以降も「802.11ahを設置における実務的なコツ」や、「Wi-Fi HaLow™ の今後の展望」を引き続きお伝えしますので、ご注目ください。

 

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ライタープロフィール

木下 浩

2022年に802.11ah製品の発売が開始されて以来、ビジネス開拓と販売促進活動を担当しています。

イベント情報

IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow™)対応製品展示と動態デモンストレーション、そしてセミナー登壇を予定しています。最新技術が集結するワイヤレスジャパン 2025にご来場いただき、是非、IEEE 802.11ahをご体感ください。

 

展覧会名

ワイヤレスジャパン 2025

会期

2025年5月28日(水)~30日(金)

会場

東京ビッグサイト 南3・4ホール

小間番号

W-02(802.11ah推進協議会ブース内)

展示

【802.11ah(Wi-Fi HaLow™)対応製品】
・アクセスポイント「温度拡張版 AP-100AH
・ワイヤレスブリッジ「温度拡張版 BR-100AH
・802.11ah/Wi-Fi 6対応ワイヤレスブリッジ「EX-150AH
・無線LANモジュール「SX-SDMAH-R2

セミナー

5月28日(水) 10時35分~10時55分 (会場:セミナー会場A)
「Wi-Fi HaLow(802.11ah)は、実際どこで 利用されているのか?」
講師:サイレックス・テクノロジー 木下 浩

入場料

無料
※公式サイトより来場事前登録が必要です
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