院内でWi-Fiが途切れる…
医療機器の安定通信を実現する方法とは?
(Wi-Fi ローミング測定結果付き)
医療・ヘルスケア機器の無線化では、大切なデータを確実に通信するため、単にWi-Fiを搭載するだけでなく、より安定した通信環境を確保することが不可欠です。
「Wi-Fiがつながらない」「通信が途切れてしまう」そんな問題が発生すると、患者さんのモニタリングができなくなったり、医療データの記録が中断したりと、大きな影響を及ぼします。特に院内を移動しながら使用する医療機器では、通信の安定性がさらに重要になります。

今回の記事では、組込み無線LANモジュール「SX-SDMAX」を使用した「ローミング機能」の最適化により、Wi-Fi通信を安定させるヒントをご紹介します。
移動する機器の安定通信には「ローミング」がキー
Wi-Fiのローミングとは、Wi-Fiアクセスポイントの「バトンタッチ」のようなものです。広い院内では、複数のアクセスポイント(AP)が配置されており、医療機器を移動すると電波が弱くなりつながりにくくなることがあります。そのままだと通信が途切れてしまうため、よりつながりやすいアクセスポイントへ自動的に切り替える仕組みが「ローミング」です。

輸液ポンプや医療用カートの場合、院内を広範囲に移動するため、ローミングを適切に機能させることで途切れることなくWi-Fi接続を維持できます。
しかし、ローミングの際には、接続するアクセスポイントを切り替える瞬間に、数十ミリ秒~数秒間の通信断が発生します。機器のデータ通信を途切れさせないためには、この時間をできるだけ短くすることが重要です。
※詳しいローミングの仕組みと規格についてはこちら:
Wireless・のおと「Wi-Fiローミングのはなし」
SX-SDMAXのローミングはなぜ速い?
SX-SDMAXでは、ローミング時の通信断が平均約24ミリ秒という結果が得られました。

例えば、カメラ映像や音声通話のように連続したデータを通信する用途では、通信断の長さが使用感に影響します。しかし、SX-SDMAXの24ミリ秒という結果は、30fpsの映像伝送であれば1フレーム未満の遅延で収まり、ユーザーが体感できるレベルの遅延はほぼありません。
また、高速ローミング規格IEEE 802.11rでは、ローミング時の通信遅延が 50ミリ秒未満であることが求められますが、SX-SDMAXはその半分以下の24ミリ秒という結果を実現しています。
一般的な無線機器ではローミングに1~数秒かかることもある中、SX-SDMAXは医療機器の無線化に最適な高速ローミング性能を持つことがわかります。
参考資料:3種類の組込み無線LANモジュールを比較した測定結果
| 無線チップセット |
データ通信の無い時間 |
|
|---|---|---|
|
SX-SDMAX |
NXP IW611 |
24ミリ秒 |
|
モジュールA |
NXP IW611 |
36ミリ秒 |
|
モジュールB |
他社製チップセット |
115ミリ |
*トリム平均は、最大値と最小値の5%を除いた平均です。
*測定はシールドボックス内で実施しています。
*測定結果は一例であり、無線LANモジュールの通信性能は実際に使用する環境により変化します。

関連動画:
高速ローミングを実現するサイレックス製無線LANドライバ
SX-SDMAXの無線LANドライバは、サイレックスが20年以上の無線LAN製品の開発ノウハウを活かし、評価・改善を行ったものです。
ローミング性能についても、最適なパフォーマンスを引き出せるように細かく調整されています。標準的な無線LANモジュールと比較しても、よりスムーズで高速なローミングを実現しており、医療機器の使用環境において高い安定性を発揮します。

ローミング条件のカスタマイズ
Wi-Fi通信の安定性を高めるためには、ローミング時の切り替え速度だけでなく、どのような条件下でローミングするかの設定も重要です。
例えば、「より電波強度の強いAPに接続する」という条件だけでは、APの境界付近で接続先が頻繁に切り替わり、逆に通信が不安定になってしまうことがあります。

このような問題を防ぐには、ローミング条件を適切に設定し、カスタマイズする必要があります。最適なローミング条件は用途や無線LANモジュールによって異なるため、高度なドライバ開発の知識が必要です。
サイレックスでは、お客様の無線化開発をサポートし、製品の用途に合わせた無線LANドライバのカスタマイズを提供しています。
まとめ
「安定した通信」を実現するための重要なポイントのひとつが「ローミング」です。院内を移動しながら使用する医療機器にとって、スムーズなローミングは通信の安定性を大きく左右します。
サイレックスのSX-SDMAXは、高速ローミングを実現します。さらに、無線LANドライバのカスタムをご依頼いただくことで、使用環境に最適なローミング条件を設定し、より安定した通信環境を構築することが可能になります。

ライタープロフィール
塩見 麻衣
サイレックスで組込み無線LANモジュールの販売促進を担当しています。
「難しそうな技術をわかりやすく」をモットーに、マニアックなWi-Fiの世界を解説します。
SX-SDMAX製品情報
SX-SDMAX は、低消費電力でWi-Fi機能を搭載できるSDIOインタフェース対応の組込み無線LANモジュールです。
・エンタープライズセキュリティ対応
・医療・ヘルスケア機器の無線化に最適
・高速ローミングで移動時の通信断を最小限に
無線LANの安定性に課題をお持ちの方は、ぜひ SX-SDMAXの採用をご検討ください。

