倉庫

無線非常停止スイッチによる自動倉庫保守の効率化

スマートリモコンシステム

物流機器や工作機械には、機械を手動操作するためのリモコンがあり有線で機械のコントローラと接続されています。他方、これまで機械に固定されていた操作パネルをタブレットPCを使ってリモートで使えるようにする取り組みも進んでいます。ここで課題になるのが、緊急時に安全のために機械の動力を遮断するための非常停止機能・スイッチの扱いです。

このスイッチは確実に機械を停止させる必要があるため現在でも有線接続が前提となっていますが、ワイヤレス操作の実現にあたってこのスイッチが有線で残っている限り完全なモバイル操作を実現することはできませんでした。

サイレックスでは、自社無線モジュール・技術の提供とそのドライバカスタム対応を通じて、産業機械メーカ様の無線式スマートリモコンの開発をサポート。機械メーカ様での製品化に協力することができました。

有線リモコン

産業機械の有線リモコン

確実に機械を停止させるため、従来のリモコン制御部はハード・ソフトともに冗長化された構成になっています。さらに制御信号を確実に機械に伝えるため有線による安定した通信を行っています。

このようなリモコンを無線対応させるためには、リモコン制御部はもちろん、無線通信部においても一般の無線LAN製品以上の安定した通信を実現しなければなりません。

スマートリモコンの開発においては、機械メーカ様でリモコン入出力・制御部を開発。無線通信エラー時の非常停止を確実に行う機能を搭載されました。他方、安定した無線接続を実現するために、サイレックスの無線モジュール、ドライバの動作のカスタマイズを並行して実施しました。

リモコン無線装置 イメージ

非常停止機能の無線対応

リモコン無線装置は非常停止スイッチがある送信機側と、機械に非常停止信号を伝送する受信機で構成されます。受信機は常に周辺の無線環境を監視しており、環境が悪化した場合は利用中の無線チャネルを自動的に瞬時に切替えます。

また、非常停止信号を最優先処理するQoS機能や、低パケロス・低遅延に対応した制御などを無線LANドライバ側で実現し、安定した無線通信を送信機との間で確保しています。

写真左上:リモコン型送信機(タブレットは市販品)
右上:固定型送信機
右下:リモコン受信機

安全認証 イメージ

機能安全認証による信頼性の担保

製品・仕様として無線非常停止機能を考慮していても、利用現場においてはどのレベルでそれを担保しているのかを明確にし、その範囲内で運用する必要があります。そのためには産業機械メーカ様では認証機関のテュフ ラインランド(TUV)が発行する機能安全IEC61508認証の取得をされました。

機能安全はハード・ソフト設計だけでなく開発プロジェクトマネジメントに関しても審査されます。今回、産業機械メーカ様では開発プロセスの上流から認証機関と打合せ、認証が要求している故障・通信断が発生した場合の確実な機械の停止、安全信号に関する部品についての常時故障診断要件に準拠した製品に仕上げられました。

工場 イメージ

実環境での製品評価

機能安全認証が求める要件を満たすリモコンシステムとはいえ、実環境において頻繁に非常停止していたのでは製品として使用範囲が限定されてしまいます。産業機械メーカ様ではサイレックスと共同で自社の物流機器・自動倉庫環境を使い本リモコンシステムを評価しました。

無線干渉・障害物による反射波の影響度などを確認した上で、リモコンシステムの無線アンテナ形状・配置などを最終決定しました。

適用製品の展開

本リモコンシステムは自社物流システム・自動倉庫向けに産業機械メーカ様で販売を開始。また今後、他の産業機械への展開も検討されています。

非常停止スイッチというミッションクリティカルな領域での無線利用はまだ適用できる製品・用途は限られていますが、今後こういった領域でも無線化の要望が高まってくると思われます。 サイレックスでは、自社AMC(Absolutely Must Connect)技術を使い、引き続きこれら産業機械メーカ様の無線化要望に応えていきます。