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サイレックスの指紋認証 開発担当者が語る開発秘話

1.指紋認証のアルゴリズムの開発において

私は2001年にサイレックス(当時はJCI)に入社しました。入社時にはすでに指紋認証事業が開始しており、認証エンジンもありましたが、指紋認証を使用した製品開発が進み、ユーザに使用していただくうちに、より高い認証精度が求められるようになり、2003年中頃から指紋認証のエンジンの改良に取り組んできました。

認証エンジンの最終目標は
『本人は認証する。他人は通さない。』
というシンプルなものですが、これが実際に行なってみると非常に難しい命題となります。

FAR、FRRはそれぞれ独立せず、相関性を持つもの

指紋認証の精度検証では、FAR(False Acceptance Rate:他人誤認率)/FRR(False Rejection Rate:本人拒否率)という指標をよく使用します。つまり、FAR=0%(他人が間違って認証されない)、FRR=0%(本人が認証で拒否されない)が最終目標となるわけですが、これらの値は独立していないため、「あちらを立てればこちらが立たず」という状態となります。

例えば、あるエンジンで、同じ指にも拘らず認証できないデータを解析し、このデータを照合させるための方法を見つけても、これにより別のデータでは他人誤認してしまう、ということがよくあります。「本人の場合は当てはまり、他人の場合には当てはまらない」というような処理、またはパラメータなどを見つけながら開発を行なっていますが、なかなかこのような条件はみつかりません。
さらに生体認証では、常に同じ状態でデータが取得できるわけではないため、場合によっては「本人なのに他人よりも似ていない」「他人なのに本人並みに似ている」というものが発生することもあります。

本人なのに他人より似ていない/他人なのに本人並みに似ている

このような状況の中、これまでにいくつもの手法を試しながら日々開発を進めており、改良後のデータ計測結果が出るときは、それこそ息を呑みます。かなり結果が期待できる感触のエンジンで計測を開始し、もう報告の方法までシミュレーションしていたのに、いざ結果が出てみると全然向上していないどころか、むしろ悪くなっていたときには、特にショックは大きくなります。それでも、指紋認証をしていただいた方の照合できたときの「おお~」という言葉を支えに、開発を続けています。

2.真皮指紋センサへの転換

指紋認証の精度を向上させるために認証エンジンの改良を行なっていますが、これだけでは解決できない問題もあります。指紋認証は、指紋センサで得られた画像をもとに行ないますが、この画像自体がうまく取得できない場合には認証エンジン以前の問題となります。
silexが以前使用していた静電容量式のセンサは、センサ面に触れている/触れていない部分の指とセンサ間の電位差を読み取り画像を取得しますが、指の状態によっては触れている部分と触れていない部分との差がなく、画像が表示されないことがありました。そこで登場したのが、現在使用している真皮指紋センサです。このセンサでは指紋の内部の凹凸を読み取るため、従来では表示されなかった指紋でも、画像を取得することができます。ただし、これで全ての問題が解決した訳ではありませんでした。

特徴点の抽出

認証エンジンでは、取得された画像を処理しながら特徴点を抽出していますが、この画像処理では認証に必要な情報が適切に得られるよう、センサの特性を考慮して工夫がなされています。
同じ方式のセンサであれば、ある程度似た傾向が見られるのですが、センサの種類(静電容量センサ/真皮指紋センサ)が違えば、指紋画像の取得方式(エリアセンサ/スワイプセンサ)も違うため、従来のエンジンそのままでは新センサの性能を活かせない、また新しいセンサでは従来のエンジンの性能が活かせない状態となってしまいました。そこでこのセンサの特性を掴むために検証を行ない、認証エンジンが効果的に働くためにはどのような処理が必要か、逆にこの特性に対応するためには認証エンジンをどのようにすればよいか等、いろいろな方向からの対策を進めてきました。

認証性能は、指紋認証エンジンと指紋センサがかみ合ってはじめて改善されるものと考えています。
そしてようやく、長年にわたるこれまでの開発で、真皮指紋センサの性能を活かせるところまで認証エンジンの性能を高めることができ、認証精度の向上に成功いたしました。

3.終わりの言葉

これまでいろいろな方にsilexの指紋認証を使用していただいていますが、「うまく認証できない」という声もあり、認証エンジンのさらなる改良に日々練磨しています。エンジンの改良は、単純に時間をかければできるというものでもなく、いくら時間をかけても改善されないこともあります。それでも、何とか指紋認証を使っていただきたい、ユーザの期待に応えたい、という想いで開発を行ない、今後も「指紋認証の可能性」を追求しながら、より多くの方に使用していただけるよう開発をすすめて参ります。

最後に、開発のために指紋データの提供と、検証のための照合を行なっていただいたお客様・関係者の方々のご協力、大変ありがとうございます。

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