事業報告
株主・投資家の皆様へ ― 代表執行役社長メッセージ
当期の業績についてご説明します。
当期の業績について
株主の皆様からの日ごろの暖かいご支援に心より感謝申し上げます。
第37期の事業報告にあたり、当期業績が最終赤字となり、株主の皆様からのご期待にお応え出来なかったことに関し、経営陣を代表し、深くお詫び申し上げます。
当社はここ数年来、製品ライフサイクルが衰退期に入ってきたプリントサーバ事業に過度に依存する収益構造から脱却する為様々な活動を進めて参りました。特に2008年度からはそのスピードを更に上げることを前提に「一定の収益の停滞は止むなし」と言う中期計画を立て、株主の皆様のご理解を求めて参りました。特にプリントサーバに代わる新製品や新事業の立上げにリソースの集中投入を進め、徐々にその効果が顕在化しつつありました。こうした不安定な事業環境の中で、2008年秋以降の世界経済の大激変が私共を襲い、2009年度に入って、国内外とも一層厳しさに拍車がかかりました。世界的な事務機器市場の縮小はプリントサーバの売上減少幅を計画値より拡大させ、成長過程にあったプリントサーバ以外の新製品群の売上も減少を余儀なくされました。
こうした状況を受け、会計制度変更による「のれん」等の償却費負担が増大する中、人件費をはじめとするあらゆる経費の削減に努めた結果、販売費及び一般管理費を前期と比較して322百万円(14.2%)減少させましたが、売上減少を補えず、上場来初めての営業赤字を計上する事になりました。
とは言え、プリントサーバ以外のビジネスの戦略分野では明るい材料も増加しつつあり、厳しい環境下でも売上成長を果たした製品もいくつか出て来ております。
成長が顕在化してきた新分野
「ワイヤレスモジュール」の分野では、ハンディターミナルや米国医療機器メーカなどに採用が決まり、売上は昨年対比53%増加しました。
機器メーカへのきめ細かい開発サポート力が評価されはじめており、加えて、産業機器市場での無線LANの需要が立ち上がりつつあることも感じています。
「ディスプレイ・ネットワーキング」の分野では、着実に事例を積み上げている段階です。店舗でのサイネージやオフィスでの会議システム、医療分野でのチェアサイドモニター、工場での作業指示書表示など当社の画像音声の伝送技術が製品開発当初は予期しなかった分野でも導入され、市場の本格的な立ち上がりに向けて高い期待感を持っています。
「USBデバイスサーバ」は当社が最も注力し、プリントサーバに代わる主力製品と位置付ける新分野ですが、世界的不況の影響で米国コンシューマ向けのOEMが振るわず、残念ながら売上を落としました。一方で、国内外の多くの有力ルータメーカで当社「USBデバイスサーバ」のコアソフトウェアである『USB over TCP/IP』技術の組込みの採用が決まるなど、着実に顧客基盤を強化し、市場での優位性を獲得しつつあります。
プリントサーバ売上衰退に伴う資産評価額を見直し
事業構成の変化により、プリントサーバ事業拡大期に保持していた資産を再評価し、大幅な評価額の圧縮を実施しました。また、米国子会社が保有していた「のれん」も米国子会社の収益状況および米国経済環境を鑑み、403百万円を全て当期末で償却しました。
更に、米国の生産機能を日本に統合する事により、米国子会社の生産設備を廃棄、人員削減や事務所スペース削減も進めました。通常の資産償却や繰延税金資産の全額償却を加え、資産を1,795百万円圧縮しました。これにより自己資本比率は44%に低下しましたが、財務体質の筋肉質化を一気に実現すると共に、2010年度以降の償却費負担を大幅に軽減しました。
キャッシュ・フローの状況と配当金
当期は1,202百万円という大きな最終損失を計上することになりましたが、資産償却を進める事によるキャッシュの流出を伴わない経費項目も多く、営業キャッシュ・フローは88百万円とプラスとなっております。
また、投資キャッシュ・フローは新製品開発のためのソフトウェアや金型の購入により254百万円支出し、借入金の返済、自己株購入、配当等の支出により財務キャッシュ・フローは255百万円減少しました。当期末の現金及び現金同等物残額は1,860百万円となり事業運営上十分な水準を維持しております。
配当金は、業績との連動性を高め、将来の必要資金を考慮して決定することにしておりますが、当期損失やキャッシュ・フローの状況といった当期の業績を鑑み、当期の配当金は1,000円とさせていただきました。
従来と比し、減配となります事を何卒ご理解を頂きますようお願い申し上げます。
2010年度の配当金につきましても計画達成を前提に、1,000円を予定しております。
2010年3月26日付、新執行体制について
すでにご案内の通り、当社は昨年9月より事業部体制を敷き、十分立上らない経済環境を鑑み、より市場やお客様に密着した布陣を取ってきております。今般、この趣旨を更に進行させ、社内外に対するメッセージを明確にするため、また、グループ全体の事業改革の牽引役である米国を中心とした海外事業を早期に成長軌道に戻すために、3月26日の株主総会後の取締役会で、会長職を廃止し、河野剛士が代表執行役社長に、デヴィッド・スミスが代表執行役海外事業責任者の任にあたる事が決定されました。これを機に一層トップマネジメントチームが一体となり業務執行を推進してゆく所存です。また、併せて取締役会議長には社外取締役の掛川和彦が就任し、統治体制も若干の変更となりました。
冒頭に述べました、当社中期計画の軸の「プリントサーバに過度に依存した構造からの脱却」は道半ばではありますが、着実に間違いなく前進しています。2010年度は、当期に注力した「USBデバイスサーバ」「ワイヤレスモジュール」「ディスプレイ・ネットワーキング」の新事業・新製品で再び成長を図り、国内海外全社一丸となって収益の改善を実現致したく、引続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
代表執行役社長 河野 剛士












